「皆の繋がりが深くなっていくのを見れるのが嬉しい」鎌倉美学に人が集まる秘訣とは 2018.4.3
鎌倉で友達がたくさんできるコミュニケーションカフェ鎌倉美学。
そんな鎌倉美学のオーナーである湊万智子さんにお話を伺い、
前編・後編に分けてお送りしています。
前編記事はこちら
前編では「鎌倉美学」と名付けた背景や
鎌倉美学をオープンしたきっかけを伺いました。
後編では「鎌倉美学なぜスペインバル?」からお伺いしようと思います。
スペインバルとしてオープンしたきっかけ
鎌倉新聞
鎌倉美学のコンセプトとしては「明るいお店」で、そこにスペインバルにしてスペインの文化を持ってきたのはどういう背景があったんですか?
万智子さん
スペインが単純に好きって言うのももちろんなんですけど、スペイン語とポルトガル語の放送局に鎌倉に来る前に勤めてたんですね。
そこでスペイン国営放送のCSの立ち上げもやったりしました。なので周りにスペイン関係の人とかたくさんいて食べ物も含めてすごい影響を受けて。
スペイン語の音も好きなんですよ。言葉の音っていうか。
だからここは自分が20代のときは、当時結婚していた夫が新聞記者だったんですけど、東京に帰ったら毎日遅くて地獄のような日々が待ってるから、もう地方支局の時に皆が協力し合って3週間から4週間まとめて夏休みをとるんです。6月から10月くらいの間に。
それで毎年3~4週間スペインに通っていました。だからスペインバルが大好きで、朝ごはんからスペインバルに行ってました(笑)
鎌倉新聞
朝ごはんから!!(笑)
万智子さん
あとスペインに初めて行ったのが1989年で、そのとき驚いたのが、ワインもビールも1杯が約100円くらいで。コカコーラが115円だったりしたんですよ。
鎌倉新聞
え、、コーラのほうが・・・!
万智子さん
高かったの。食事も美味しいし、なんて楽しい国なんだと思って。
しかもイスラム文化とカトリック文化とかが混ざり合ってる面白い街並みも興味深くて、だから街を散歩してても楽しくて楽しくて。
鎌倉も街を歩いてても楽しいですよね。
鎌倉新聞
楽しいですよね。教会とかも色々あって。
万智子さん
ありますよね。鎌倉も神道、仏教、キリスト教が一緒に東日本大震災の慰霊を行ったり、宗教を超えて一緒に活動してたりしますよね。
鎌倉新聞
スペインではどの辺りに行かれてたんですか?
万智子さん
バルセロナは大好きなんで、毎回行ってました。
あと最初の頃は特に南の方が多かったですね。アンダルシア地方のセビリアとかグラナダとか。グラナダのアルハンブラ宮殿にも行きました。
アンダルシアには海があって白い村がたくさんあるんです。
鎌倉新聞
先ほどスペイン語とポルトガル語の放送局に勤めていたって仰ってましたけど、スペイン語はもともと外国語大学で学ばれていたんですか?
万智子さん
最初は全然違うんです。栄養学を専攻してたので。最初入社したのも金融の会社ですし。
スペインが好きっていうただ一心で、毎年スペインに行くのもあってスペイン語を勉強してました。
鎌倉新聞
どうやって勉強されてたんですか?
万智子さん
NHKのラジオとテレビで。
毎日出勤する時に、朝録音したテープを聴きながら行ったり、お風呂に入って流していたりとか。
鎌倉新聞
すごい・・・!好きじゃないとなかなかそこまで出来ないですよね。
あと本当にざっくりとお伺いするんですけど、スペインのどこに惹かれたんですか?きっかけとかお伺いできればなーと!
万智子さん
きっかけは新婚旅行なんですよ。私ちょっとイギリスに住んでいたことがあって、元旦那が卒業旅行でヨーロッパを周った中でスペインが一番良かったって言っていて。
イギリスに住んでいる時に結構他の国は行ってたんですけど、スペインに行ってなかったんですよ。
それでじゃあスペインに行こうってなって、一度行ったら見事にハマりました(笑)
さっきお話したスペイン語の音に加えてお料理も美味しいし、街を一日中散歩してるのも好きなんです。
町並みがすごく綺麗だし。それでどんどんはまっていってしまった。人もいいですよね。
鎌倉新聞
単なるイメージですけど、明るい感じがします・・・!
万智子さん
失業率30%くらいあるのにね(笑)
鎌倉新聞
え!?!?!?
万智子さん
当時はね。今はもうちょっと良いらしいんですけど、何て楽観的な人たちなんだろうって。
※編集部注:内閣府のサイトによると、現在の失業率は20%程度とのこと。ただ16~24歳の若年層になると失業率は40%を超えるようだ。
あとグラナダにいた時のエピソードなんですけど、初めてバルで知り合ったおじさんが5件くらい連れてってくれるんですよ(笑)
鎌倉新聞
初めてで(笑)
万智子さん
スペイン語にはバルをはしごするっていう動詞があるんです。
「ポテアール ロス バレス」って言って、本当にはしご酒みたいに、ここ行って、次ここ行って、っていう。
最後にはディスコまで連れて行ってくれたりとか。そういうすぐ受け入れてくれるようなところが好きですね。
鎌倉新聞
あー!!僕も初めて美学に来たとき、すんなり受け入れてくれたのが今ものすごくリンクしました・・・!
お客さんとのコミュニケーションのお話
鎌倉新聞
万智子さんは普段お客さんから「万智子さん」以外の呼び名ってありますか??
万智子さん
そうですね、人によって「マッチ」って言ってくれる人もいるし「マチピー」とか。でもだいたい「万智子さん」かな。
最初、私だいたい下の名前聞くんですよね。例えば「佐々木さん」とは呼ばずに。
鎌倉新聞
あー確かに!!
万智子さん
下の名前で呼び合った方が距離縮まるから。
そうしたらお客さん同士も下の名前で呼び合ってくれるんです。
例えばミユキちゃんっていうお客さんが白ワインに氷2つぶ入れて飲むんですね、いつも。それを皆ミユキスタイルって言っていて。
「シャルドネ俺もミユキスタイルで〜!」みたいな(笑)
あとはみっちゃんていう茨城に住んでる女子がいて、毎年自分の誕生日は美学に来るんですよ、泊りがけで。
鎌倉新聞
茨城から・・・!
万智子さん
ジョーレンズ(常連のお客さんたちのこと)と毎回会うから皆みっちゃんて呼んでて、Facebookでも友達になって。みっちゃんが来るとちょっと集まったりとか。
意外と一人旅の子も寄ってくれたりします。
鎌倉新聞
やっぱり鎌倉一人旅多いですか?
万智子さん
うん、女子が多いですね。
鎌倉新聞
女子来たとき僕も呼んでください!←
ってのは冗談として、そろそろお腹空いてきました・・・そろそろあれ食べて良いですか??
美学カレー
鎌倉新聞
いただきま〜す!
・・・
・・・
・・・
・・・
具材がチキンのみとシンプルで、
口当たりが割とさっぱりしていて、
スパイスが良い感じに少し効いていて、
そのチキンがたっぷり入っていて食べ応えたっぷりで、
しかもリーズナブル(ランチタイム:760円)ですね!
美学カレーはランチだけでなくディナータイムでも提供してるんですよね?
万智子さん
提供してます〜(ディナータイム:1,080円)
ランチでは単品だけでなく、ランチプレートの1つとして選べるようにもしています。
鎌倉新聞
あーランチビールも飲みたくなる・・・(仕事中なので自粛
万智子さん、やっぱり飲みたくなったので夜もまた来ます(笑)
※取材はライチタイム終了時に行われた
万智子さん
はーい(^^)
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タパス盛り合わせ
鎌倉新聞
万智子さん、夜もよろしくお願いします(笑)
おっこれはタパス盛り合わせですか?
万智子さん
そうなんです。夜はこれが人気ですね〜
1人前からでももちろん頼めるんですが、これは2人用で6品乗ってるんです。
しかも選べるようになってて。例えば「ビールに合う」とか、「ヘルシーさ重視」とか。
これだと生ハム、ブラジルソーセージ、チキンのトマト煮(鉄分・繊維が豊富な雑穀キヌア入り)、スペインの羊のチーズを1年熟成させたマンチェゴチーズ、タコとエビとたっぷり野菜のマリネ、ペルーのポテトサラダみたいな感じで。
これで1,500円なんですよ。
鎌倉新聞
おーお得!!
万智子さん
マンチェゴチーズなんか、手にチーズを取って、その手についた香りで飲めますね(笑)
鎌倉新聞
ほんとだ、めっちゃ香ってきますね・・・!
ビールも、生ビール以外に世界各国のビールがありますね、スペインとかマチュピチュとか。
万智子さん
そうなんです。スモークビールもありますよ。
鎌倉新聞
スモークビール!?!?
万智子さん
ブナのチップを3年寝かしたものでビールをスモークしたんです。
シュレンケルラっていうんですけど。
本当にスモークしてる味がします。
鎌倉新聞
ワインもたくさん種類がありますね!
万智子さん
グランドメニューに無いのもあるんですけど、常時11~2種類のワインをグラスで飲めます。
※編集部注:グランドメニューに無いものは美学のFacebookページ・Instagramで入荷のお知らせをしてくれている。
ワインに詳しくない人でもわかりやすいようにシャトー名(生産者名)ではなくて、ぶどうの品種で分けてるんですね。あと国。
例えば「アルゼンチンのシャルドネ」とか、「アルゼンチンのトロンテス(編集部注:オーガニックワイン)」とか。
これらが500円から楽しめます。
鎌倉新聞
気軽に頼めますね。
万智子さん
私がスペインが好きになった理由の1つの”お酒が安くて気軽に飲める”ていうのがあるんです。
なので価格を全体的に抑えてるのは、たまに行くお店じゃなくて、気軽に普段使えるお店っていう感じにしたいんですよね。
お客さんの中には、親切に「これもう100円ずつあげてもいいんじゃない」って経営を考えて言ってくださるお客さんもいるんですけど、基本この値段で(抑えています)。
鎌倉新聞
地元民としては助かります。観光地価格のお店もそれなりにあるので・・・
働く上でのモチベーション
鎌倉新聞
最後に2つ聞きたいことがありまして、1つは今美学で働いていてどういうところに喜びを感じるか、働く上でのモチベーションてどんなところなのかなと。
万智子さん
そうですね、どんどん美学ファミリーが増えてる感じがするのが楽しいですね。
例えば筋肉部っていう部活があるんです。毎週日曜の夜に鎌倉体育館に集まってトレーニングをするっていう部活なんです。
そしてトレーニングが終わったその足で美学に集合するっていう(笑)
鎌倉新聞
それ運動した後のお酒ってめっちゃ酔うやつじゃないですか(笑)
万智子さん
その筋肉部が細分化した村澤水泳教室っていうのがあって。そこのメンバーで鎌倉市の水泳大会に出たりしてます。
あとこれは感動してるんですけど、極楽寺でスパイスを売っている「アナン」を経営しているバラッツという人がいて。
村澤さんが縁があって鎌倉に住んでるので、仕事以外でも何か鎌倉の為に出来る事とか、仲間の為に出来る事をしたいって言っていたんですね。
それで村澤さんが中心になってバラッツのスパイスをサイトで買えるようにしてくれて。
そしてそのサイトに載せるために毎週日曜日にバラッツの家に皆で集まって、料理を作るムービーを撮って、皆で食べて。結構な種類撮るんですよ。
ムービーの中で「このスパイスを使ってま〜す」って言って、そこまでやってるっていうね。
自分の生業の仕事以外に仲間内でやっていて、すごく微笑ましい、いいなーと思います。
だからどんどん繋がりがね、皆の繋がりが深くなっていくのを見れるのが嬉しい。
バラッツも東日本大震災の後に宮城県の女川町で炊き出しをしたりとか、炊き出しのカレーに使ったスパイスを基にした女川カレーっていうカレーを作って。
そうやって商品で雇用を増やして後押しして行こうっていう活動もしています。
今後どういうことをしていきたいか
鎌倉新聞
最後の質問なんですが、何の制約も無かったら今後どういう事をしていきたいですか?万智子さん個人としてだったり、鎌倉美学としてだったり。
万智子さん
東京オリンピックの年に鎌倉アーティストバンクの活動を再開させたいのと、グループ展をまた開きたいなと思っています。
ここ近年、浄智寺さんの書院をお借りして皆の作品を展示してたりしたんです。
2015年のイベント
2016年のイベント
鎌倉新聞
素晴らしい・・・!
今日は万智子さんの人生や鎌倉美学・鎌倉アーティストバンクの活動をお伺いでき、本当に嬉しいです。
本日は本当にありがとうございました!!
※このあと、2時くらいまで飲み続けて見事に二日酔いでした(白目)
コミュニケーションカフェ鎌倉美学
〒248-0012 神奈川県鎌倉市御成町8-41 クイックシルバーハウス1F
交通手段:鎌倉駅西口徒歩3分
TEL:0467-22-2233
Lunch 11:30~15:00
Dinner 18:00~23:00 (フードL.O. 22:00※水曜日のみ。他の日は閉店まで)
→日によっては23時以降も営業している場合ありなので、帰りにふらっと立ち寄ってみてもいいかも!
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